本谷有希子「江利子と絶対―本谷有希子文学大全集」
- 作者: 本谷有希子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2003/10/01
- メディア: 単行本
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すごいのきたよこれ。えげつない部分をこれでもかってほどにほじくり出してくる。痛い痛いって悲鳴を上げたくなるくらいに抉ってくる。言いようのない感情とか狂気にしか見えない言動を寸分狂いなく綴れるその力は怖いくらいに素晴らしい。こっちが処女作で、二作目の「腑抜けども〜」よりも読み易い文章っていうのは何故なんだろうって疑問にも思ったけど、とにかくスピード感があって臨場感ある文章も読者をグッと引き込ませます。
いやぁ、これは凄い。一冊所有して、これを読ませて共感してくれる人を探し回りたいくらい。これで自分と同じくらい共感してくれるなら僕はその人とぜひ親友になりたい。
それにしても。表題作「江利子と絶対」を電車の中で読んで「こりゃとんでもない!」とどす黒い興奮を覚えながら飲み会の集合場所に行くような奴が、軽ーいノリのバイト飲みを楽しめるわけがないなぁ、と我ながら思った。切り替えがうまくできなかったよ、この作品のインパクトが強すぎて。