重松清「疾走」

疾走 上 (角川文庫)

疾走 上 (角川文庫)

疾走 下 (角川文庫)

疾走 下 (角川文庫)

何ともいえないなぁ。感想として残っているのは、一人の少年が経験するあまりにも悲惨で破滅的な物語だったということ。これを読んで僕は何を感じ取ればいいんだろう。
崩壊へと向かっていく過程がどうしようもなく気になってパラパラと読み進めてしまう。若干過去の金八*1に似ているなぁとか思っていたんだけど、この作品では救いなんて無かったよ。ここまでかというほどどん底に叩き落されていくその様は酷いの一言。確かに読まされる。上巻を読み終え、急いで下巻を買いに走ったくらい。でも用意されていたラストには不満。きちんと締めているし、一つの物語の完結は成し遂げられているんだけど、結局どんなメッセージを伝えたかったのかっていうのが分からない。んー、難しい。
重松清たるさらっとした文章は読みやすかった。すいすいと読んでいた内、浅くしか読めていなかったのかもしれないなぁ。

*1:兼末ケンジロウのシリーズ