中村航「リレキショ」

リレキショ

リレキショ

「I love you」での収録作品が良かったので追っかけてみることにした中村航。第一弾「リレキショ」。
感想を書くのは難しい。どちらかと言えば雰囲気を味わうような作品で、いや、それでも物語だっていいのだけど。唐突な設定にもすんなり入り込める、なるほどこれは御伽噺。この不思議な設定が登場人物たちの絶妙な距離感を保つのに大きく貢献している。朧げで掴めないのだけど、どうしようもない良さがこの作品にはある。疲れたときとか凹んでいるとき、逆にどうしようもなく幸福な気分のときにぴったりな不思議な一冊だ。
強烈にプッシュしたい作品かといえばそういうわけでもないけれど、読んでない人は勿体無いなぁと思う。そして中村航の注目度は俄然上がりました。

追記

Amazonで言い得て妙なレビューがあったので抜粋。

ぼんやりした世界は非常に不安定なのですが、
その不安定さが心地よく感じられます。
言葉を並べて表現されていく世界ではなく、

物語の流れを楽しめる作品です。
よくわからないからこそ、登場する人物が魅力的に見え、
言葉によって付け足された人間性では無い、しっかりした人物像ができあがっています。

家の中での描写、スタンドでの様子、すべてがあいまいなのですが
確実に読む人の心をつかみ、その世界に引きずり込んでいってくれます。

何で抜粋したかというと、個人的に残しておきたい名文だったから。これで人に薦められる。