中村航「夏休み」

夏休み

夏休み

今回は現実味を増しての設定だけれども、話の展開はやはりどこか珍しいような展開。失踪を夏休みとして扱った、ということでいいんだろうか?
筆致が同じであれ、登場人物の造形によって小説の中身は大きく変わってしまうんだと思わされた作品。今回は登場人物、特に主人公がよくなかった。ナルシスト的な振る舞いや言動が目立ってどうしても気になってしまった。持ち味の浮遊感、浮世離れした不安定さは健在も、それが前回とは真逆に作用してしまい、不快感しか生み出さなくなっている。
一転、読み進めるのが非常に苦痛な作品だった。