絲山秋子「海の仙人」

海の仙人

海の仙人

碧い海が美しい敦賀の街。ひっそり暮らす男のもとに神様がやって来た―。「ファンタジーか」「いかにも、俺様はファンタジーだ」「何しに来た」「居候に来た、別に悪さはしない」心やさしい男と女と神様。話題の新鋭、初の長編。
あれだけ完成度の高かった「イッツ・オンリー・トーク*1から更なる高みに昇りつめることができるんですね。これが僅か二作目。これはとんでもないことじゃないですか?
著者の見ている世界が知りたい。包まれている世界を知りたい。
人物造形と風景描写、独特の世界観とその敷居を低くする“ファンタジー”という設定。p.75の場面なんか思わず涙が出そうになったよ。快哉の涙ね。何も言い表すことができないから、ホントに一度手にとって是非読んでほしい。至高の作品です。

*1:何とデビュー作!